【7】「 札所巡をしたいのですが、納経しないと朱印はもらえないのですか?」
 テレビ等の影響で、にわか巡礼者がずいぶんと増えたような気がします。お四国のみならず、全国に点在する霊場巡りは、現代人にとって懐かしい故郷へ帰っていくような気分にさせてくれるのかもしれません。
 中には、納経帳など持たずに、写真を撮ったり、おみやげやお守りを集めて回る人たちも居るようです。それでも、おおかたの巡礼者は、やはりスタンプラリーの様な感覚で朱印を集めて楽しんで居るようですね。
 何はともあれ、きっかけをつかんで遍路に赴くのは、とても良いことだと思っております。ただ、信仰心の表れとして、真剣に巡拝している方々や寺院の窓口や本堂内で、その場の尊厳を傷つけないような配慮は必要だと思います。
 納経帳の名前のとおり、写経を事前に行って、浄書したお経を札所に収めて回るのが始まりで、納経帳も巡拝者が自ら朱印をしていたようです。僧侶や納経所の職員に書かせて、本人は集めるだけというのは、本来の意味では有りません。
 スタンプを集めるような巡礼なら、気楽で楽しい遍路を心がけ、お寺や札所の職員に必要以上のサービスは求めず、自分の都合だけで楽しんでいるのだと言うことを自覚しながら、巡拝を続けましょう。
 とかく、お寺の作法を世間の常識と切り離して考えがちですが、仏様に対する気遣いも、人に対する気遣いと何ら変わるわけではありません。仏様に対して不作法な人は、普段の人付き合いでも回りに迷惑をかけているのではないですか。
 朱印を求める巡礼者の側も、納経を求める札所の側も、お互いに感謝しあって成長していけるように。独学独習では得られない、相互礼拝・相互供養の精神こそ納経帳を媒介とする、巡礼者と札所との寺子屋修行だと観じます。

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